祭礼は「見せる」「見られる」事を意識する事から発生、発達した文化である。(愛媛県歴史文化博物館学芸員 大本氏) 以下愛媛祭り紀行を参考にまとめてみました。 ●七重の布団屋根で高欄に掛け布団を乗せる太鼓台 (川之江市 伊予三島市) ●上幕、高欄幕を吊るす太鼓台(新居浜市 土居町) ●車輪のついたみこしだんじり(西条市 東予市) ご存知のようにこれらの地区は大型化し、金糸の刺繍で豪華に飾られている。祭礼が「見せる」「見られる」事を意識する事から発生、発達した文化であるなら、地区内各町が競い合った結果の形状変化であると想像する。又、新居浜の例を出すまでもなく、企業の近代化に伴う地域の発展も大きな要因だと考えられる。 ●装飾の簡素なだんじり(弓削島 大三島 津和地島等) 祭りの最大の見せ場は、継獅子と呼ばれる伊勢太神楽系の獅子舞である。これをもって「見せる」祭りとしている。従って、地区内各町が競って装飾を派手にする事なく、素朴な形状で現在も残っているのだろう。 ●太鼓台の原型に近い四ツ太鼓(南予地方) 神輿渡御の一員であり、祭りの中では目立った存在ではない。主役は、牛鬼や鹿踊りである。すなわち「見せる」という事では脇役である。又、各町毎に異なった練り物を出しており、地区内各町の装飾の競い合いが見られない事も太鼓台の原型に近いまま現在に到った要因だと考えられる。 |